西横堀ワークショップ | 丼池ストリート界隈
大阪繊維街「丼池ストリート」布のある新しい風景
近年、日本の中心市街地の疲弊のスピードは留まることをしらない。それは2番目の都市である大阪においても例外ではない。このワークショッププロジェクトは、「西横堀」ソーシャルデザインチーム(direction 「木村松本建築設計事務所」「design SU」「山口陽登」「fabricscape」、produce 「今昔西横堀と新しい町人のまちづくり / とのま」「近畿大学松本明研究室」)によって行われた、中心市街地で見られる都市問題を「これからの都市を描く」パブリックデザインで解決する試みである。
大阪は、300年前の江戸時代にいち早く商都として近代化した世界でも希有な都市である。現在でもその当時の商いをベースとした問屋街が多く見られる。その中の「丼池ストリート」という繊維商店街は、大阪が繊維で発展した時代には華々しく栄えたが、現在では時代の変化とのギャップが埋められず、ビルの空室化や後継者問題など、様々な問題が顕在化しはじめている。
ワークショップでは、布の商店街周辺をツイッターを用いてリサーチを行った。それらを収集し、調査者が問題を挙げていったデータを整理し、街の魅力点と問題点をまとめ挙げていった。
主な魅力点、1)布の街だけに歩いていると色々な布があって楽しい。2)比較的広い物件も多い。
主な問題点は、1)ビル上階に空室が多くみられる、2)路上駐輪が多い、3)お店の情報が手に入りにくい。
こうした魅力と問題が結びつき解決するようなデザインを「布」を用いて作り出した。
一つは、「ビルにかかるカーテン」。優良な空室を保有するビルに大きな一枚の布を屋上から垂れ下げることで、通行者の視点をビルの上層部へと向かわせるものである。また、この布は「fabricscape」によって新しく作られた。ステンレスを織り込むことによって、形状記憶と自重を兼ね備えていることから、形態を留ませながら優しく風になびくことができる。そして、光を柔らかく反射・透過させることで、街の周囲に対して独特の雰囲気を生み出している。
他に、路上駐輪を布でラッピングし、オブジェへと変化させた作品。お店の情報をマッピングした布製の地図など、布の街に問題の解決と彩りを加えた。そして期間限定であるが、この新しいパブリック空間のもと、近隣住民を招いたシンポジウムを行い、「丼池ストリート」の日常の中に「布のある新しい風景」が実現されたのである 。
そして私たちは、ここでの「新しい風景」をきっかけに、この商店街、住民とどのような関わり方ができるか、考えていきたいと考えている。