「Tの住宅」のお施主さんインタビュー

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昨年12月に雑誌の取材で、「Tの住宅」にお伺いしました。
久々の訪問でしたが、竣工後7年経っても、大らかな空間の中に、お子さんの成長と共に瑞々しい生活の姿を見ることができて、建築は生活によって深みが増していくことを改めて実感しました。

ここでは、取材でライターさんの質問に施主の「Tさん」が答えられた内容を参考に、インタビューとしてまとめましたので、ご覧いただければと思います。
ちなみに雑誌は今月の21日に発売予定で、詳細は改めて投稿いたします。


Q.どんな暮らしに憧れがありましたか?

結婚して何年かは大阪に住んでいました。賃貸マンションに住み続けるのはもったいなく思い、いつかはこの月極駐車場として使っていたこの土地で、家を建てようと思っていました。そこでイメージしていたのは、人目を気にせず自由に使える庭のある暮らしに憧れがありました。

Q.とのま一級建築士事務所に依頼した決め手は何ですか?

当初、ハウスメーカーや住宅会社に相談をしていましたが、よく広告などで見るありきたりなプランや外観の提案に決めかねていました。そこで小学校、中学校、高校が同じで長馴染みの河田くんに声を掛けました。その提案は、思っていた庭のある家とは異なりましたが、想像をしてもいなかった庭とLDKを2階に浮かせるという案に魅力を感じました。この敷地が月極駐車場ということもあって、出入りする人の視線や車の砂埃を考えると、2階の上に住むというのは納得の提案でした。又、駐車場の状態で土地を継ぎ残すという点が、両親もとても気に入って背中を押されました。

 

Q.設計では、どんな家にしたいと伝えましたか?

イメージしていた「人目を気にせず自由に使える庭のある暮らし」に加えて、家の中では家族の集まる場所があって、気配がどこにいても感じられる、籠もったりもせずに、家族間のコミュニケーションの取りやすい家にしたいと伝えました。

Q.実際に暮らしてみてどうですか?

2階の庭は、周辺の視線を気にせずに自由に使える気持ちの良い場所でした。また、室内についても、要望していた通りLDK空間にいれば、家族全員が何をしているか身近に感じることができます。外を眺めると、庭越しには2階ならではの見通しの良い風景を感じることができました。

Q.築7年になりますがお気に入りの場所はどこですか?

やはり2階のメインの生活スペースと庭がお気に入りです。想像以上に使い勝手が良く、リビングやダイニングの延長でもあり、庭でもあり、季節や子供の年齢に応じて色々な使い方ができました。例えば、子供にとっては、目の前に公園があるようなもので、実際子供の自転車の練習もここでしました。
他にも、友人の家族を招いてこのテラスでBBQをした時には、キッチンの行き来がしやすくて、準備や後片付けも楽にできました。酔った友達がリビングのソファで休憩していたり、子供たちは畳スペースで遊んでいたり、中も外も含め、2階全体を使って楽しむ事ができました。

 

Q.暮らしの中で予想以上の事はありましたか?

2階の庭に「はなれ」として計画した私の趣味の部屋は、外を挟んだ場所ですが、リビングやダイニングと一体感があり、はなれていても家族の気配が感じられる場所となりました。また、この部屋をゲストルームとして使用する際には、この「はなれ」の構成が、ホテルの客室のようで、面白いと思いました。

今回のインタビューを終えて

幼なじみであったTさんからの住宅のご相談はとても嬉しい依頼でした。お互い同じ町内で育ち、成人してからは同じ大阪で過ごしていた事もあって、生活の原風景を共有し、これからの家族の姿を一緒に考えたからこそ実現した住宅プロジェクトだったように思います。特にTさんご家族のライフスタイルは多趣味で活動的で、様々な活動を受け入れるような寛容な住宅を自然とイメージすることができました。そして、今回竣工後7年経って、とても楽しそうに住まわれているのを見て、改めてこの時の経験が、これ以後の住宅設計の基礎とっている事を再確認しました。このような機会を与えていただけたということに感謝しております。ありがとうございました。
河田剛

※このインタビューは雑誌の撮影時にライターさんと同席したスタッフ(一色)が記録したものを再編集したものです。

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